研究室概要

ユビキタスコンピューティングシステム研究室は,2011年4月にソフトウェア基礎学研究室出身の安本教授と玉井助教(現在はATR)によって活動を開始した10年目となる研究室です.2013年3月に荒川准教授(現在は九州大学教授),2014年10月に諏訪助教(現在は特任准教授),2015年4月に藤本助教(現在は大阪公立大学准教授),2017年1月に水本特任助教(現在は大阪大学特任助教),2019年4月に松田助教,2020年4月に中村特任助教(現在は九州大学助教)も加わり,現在教員6名,後期博士17名,前期博士25名で研究を進めています.

本研究室では,あらゆるものがコンピュータを搭載しネットワークに接続された未来のユビキタス社会において,人間生活と情報技術がシームレスに融合することを目指して研究を進めています.センサーシステム/センサーネットワークはもちろん,ユーザが利用するスマートフォンから得られる情報やユーザがネット上で発信するつぶやきなどから,実世界(環境と人間)で何が起きているのかを推定・認識する仕組み,その結果に基づいて次の適切な情報サービスを推薦する仕組み,それらによって創出される新しい未来の情報サービスの実現,などに関して,あらゆる方面から研究を進めています.

多くのテーマは,理論的な研究だけでなく,実際にシステムを構築して目に見える形のデモを行うことを目指しています.2013年4月からはNAIST学内に,実際の住居環境を再現したスマートハウスが竣工し,実際の環境でホームネットワークの研究や家庭内でのコンテキストアウェアネスの研究を進めていくことが可能になっています.ソフトウェアの知識だけではなく,情報推薦アルゴリズム,無線・有線などネットワーク,そしてハードウェアの知識まで,情報工学に関するあらゆる知識を駆使して,未来のユビキタスコンピューティングシステムを提案して行きたいと考えています.

教育に関しては,2年間のNAIST生活の中で,より多くの対外発表経験を積むことも重要視しており,早い学生では1年生の秋には国内学会で発表を行うペースで研究を進めていきます.そして,2年生のときには,国内だけではなく,国際会議での発表ができるように願っています.そのために,通常の輪講とは別に,Scientific Writing(英語論文の書き方)に関する輪講を毎週,すべて英語で行ったりもしています.

また研究活動とは別に,ほぼ毎週,金曜日の夕方には,先生も含め,みんなでテニスやバスケットをして親睦を深めると共に,学内のソフトボール大会などにも参加したり,夏には研究室旅行なども企画しています.これは,最先端の研究に日々邁進,切磋琢磨する一方で,2年間の大学院生生活の中で,人生の友になるような仲間となって欲しいという願っているからです.

学部時代の研究が,ソフトウェア系でもネットワーク系でもハードウェア系でも,未来のユビキタスコンピューティングシステムを担う研究がしてみたいという熱意ある学生をお待ちしております.

研究テーマ

本研究室では,センサ・デバイス・ネットワークが連携し、センサから取り 込まれる実世界データを処理・集約・解析することで、高度なサービスを 効率良くユーザに提供するシステム―ユビキタスコンピューティングシステム―の実現に向けた研究に取り組んでいます。

具体的には、図に示すように、「実世界からの情報の収集」に関する研究「収集した情報の分析」に関する研究,そして,「分析結果の応用」に関する研究の3つの研究を三位一体で行なっています。

各研究の説明は、下記を御覧ください。
また、技術相談に関しては、産官学連携推進部門に連絡してください。

スマートホーム

私たちの生活の中で重要な場所の1つが家です。安心して暮らせるのはもちろん、快適さで省エネルギーが両立した空間であることが求められています。本研究室には、高精度な屋内位置センサや電力センサを始めとする様々な環境センサが埋め込まれ、研究で考えたアイデアを実際の生活の中で評価、検証できる「スマートホーム」があります。家による人の行動認識などの研究に加え、さまざまな家電の連携を模索するコラボレーションの場としても活用しています。
詳細はこちら:http://research.ubi-lab.com/ja/home/

スマートライフ

私たちは日常生活において様々な身体的・精神的状態をとります。これらの状態認識を行うことで、人の生活に寄り添ったアプリケーションの実現が期待されています。本研究室では、スマートフォン等の身近なセンシングデバイスから取得したデータを基に、これらの状態を推定・予測する研究を行っています。また、個々のユーザの状態を推定・予測することにより、場面に即した行動支援や生活環境の改善など、より快適な生活を提供することができるようになります。
詳細はこちら:http://research.ubi-lab.com/ja/life/

スマートシティ

私たちが生活している街には様々な情報が溢れています。本研究室では、これらの情報をセンシング・分析することで、新たな価値を生み出し、ユーザへと還元するシステムの研究開発に取り組んでいます。情報をセンシングする手法には、ユーザが所持しているスマートフォンや車載カメラ等のデバイスを用いてユーザ自身が情報をセンシングする”ユーザ参加型センシング”や、不特定多数の人々が利用しているSNSから情報をセンシングする”ソーシャルセンシング”などがあります。
詳細はこちら:http://research.ubi-lab.com/ja/city/