ユビキタス環境シミュレーション

ユビキタスコンピューティングシステムは多数のセンサ,デバイスから構成 される複雑なネットワークシステムであり,物理環境(温度や照度,人の位置 など)の状況がセンサから取り込まれ,その変化に適応するようにシステムが 動作していきます.このようなユビキタスコンピューテイングシステムを効率 良く設計し,動作の正しさの確認や性能評価を行うためには,設計ツールや, ユビキタス環境のシミュレーション技術が必須となります.本講座では,(i) ユビキタス環境のシミュレータ,(ii) 屋内環境において,障害物の影響や取り 付けやすさも考慮して,センサの最適な設置位置を自動的に計算し可視化するツールなどを研究開発しています.

ユビキタス環境のシミュレータ

スマートスペースを実現するアプリケーションソフトウェアを 高信頼かつ低コストで開発するための仮想テストベッドを提供するシミュレー タUbiREALを開発しています. UbiREALは,3D 仮想空間上に仮想のデバイスを設置し,デバイスの動作,デバ イス間の通信をシミュレートする機能に加え,エアコンなどのデバイスの動作 による空間の物理量(室内温度など)の時間的変化を再現する機能,仮想空間 の様子を任意の視点で描画する機能,仮想ユーザを空間内で自由に移動させる 機能などを提供します.デバイスの動作・通信を再現する既存シミュレータは 幾つか存在しますが,仮想空間におけるユーザの位置,各種物理量等の多彩な コンテキストの変化を再現する機能を併せ持つシミュレータはこれまで開発さ れていません.UbiREALが持つ多彩なコンテキストの再現機能により,スマート スペースアプリケーションの開発が容易になることが期待できます.UbiREALの 有効性を評価するために,仮想空間上に8 部屋からなるスマートホームとコン テキストに従って情報家電を制御するアプリケーションソフトウェアを構築し 実験を行い,実用規模のスマートスペースアプリケーションを実行するのに十 分な性能を有すること,アプリケーションソフトウェアおよびデバイス制御シ ナリオ開発時の不具合発見に有用なことなどを確認しています.

関連論文

  • 西川博志,山本眞也,玉井森彦,西垣弘二,木谷友哉,柴田直樹,安本慶一,伊藤 実: 仮想空間を用いたスマートスペースアプリケーション向けシミュレータ, 情報処理学会論文誌,Vol.49,No.2,pp. 774-785 (2008-02)
  • Nishikawa, H., Yamamoto, S., Tamai, M., Nishigaki, K., Kitani, T., Shibata, N., Yasumoto, K., and Ito, M.: UbiREAL: Realistic Smartspace Simulator for Systematic Testing, Proc. of the 8th Int’l Conf. on Ubiquitous Computing (UbiComp2006), LNCS4206, pp. 459-476 (Sep. 2006).

スマート環境シミュレータへの協調作業支援機能の拡張

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スマート環境の開発を支援することを目的に,複数のクライアント 端末で,スマート環境アプリケーションを同期してシミュレーションを実行 し,スマート環境の任意の情報を各端末に任意のレイアウトで表示できるシミュ レータのフレームワークを提案する.ユーザや外部環境の状況に応じて,情報 家電などのデバイスを自動制御するスマート環境アプリケーションの開発にお いて,動作確認やテストによる不具合発見を行うためには,多大な労力や費用 がかかる.スマート環境が大規模化することにより,構成要素であるセンサや 家電デバイスが増え,それらの依存関係は複雑なものとなり,スマート環境全 体の動作ならびに不具合を把握することが難しくなる.既存のスマート環境シ ミュレータは,単一の端末での実行を想定しており,大規模なスマート環境の 動作確認や不具合発見を複数の開発者で分担して行うための支援機能を有して いない.本研究では,上記の問題点を解決するために,スマート環境のシミュ レーションを複数の端末で同期実行する機能ならびに複数の開発者間での動作 確認・不具合発見を支援する機能を既存のスマート環境シミュレータに拡張す る.複数の端末それぞれに,スマート環境の任意の構成要素を選び,任意のレ イアウトで表示するフレームワークを提案する.

関連論文

  • 吉田昌剛, 玉井森彦, 柴田直樹, 安本慶一:スマート環境シミュレータへの協調作業支援機能の拡張, DICOMO2012シンポジウム論文集

屋内センサ最適設置支援ツール

屋内空間において,ある対象エリアを満遍なくセンサのセンシングレンジで カバーするようセンサを設置する際,取付位置によるコストの違いや障害物 (静止物,移動物)を考慮すると非常に難しい問題です.ユビキタスコンピュー ティングシステムを効率良く実現するためには,対象エリアを最小コストでカ バーするようセンサを設置する必要があります.本講座では,対象の屋内空間 を市販のグラフィックツールなどでモデル化し,対象監視エリアと,各センサ のセンシング範囲,位置による設置コストの違いを設定するだけで,最小コス トで対象エリアを100%カバーするセンサの設置位置を計算し,3Dグラフィクス により表示します.出力結果を見て,ユビキタスシステムの設計者は,容易に センサ設置位置を把握し,実際の空間に設置することができます.

関連論文

  • Marc T. Kouakou, Shinya Yamamoto, Keiichi Yasumoto, Minoru Ito: Deployment planning tool for indoor 3D-WSNs, Adjunct Proceedings of UbiComp 2010, Demo, pp. 369-370 (Sep. 2010).
  • Kouakou, N. M. T., Yamamoto, S., Yasumoto, K., Ito, M.: Cost-Efficient Deployment for Full-Coverage and Connectivity in Indoor 3D WSNs,マルチメディア,分散,協調とモバイル (DICOMO2010)シ ンポジウム,pp. 1975 – 1982,下呂(2010-07).(優秀論文賞受賞)
  • Marc T. Kouakou, Shinya Yamamoto, Keiichi Yasumoto, Minoru Ito: Cost-Efficient Sensor Placement for Full Coverage of 3D Indoor Space with Moving Obstacles, IPSJ SIG Tech. Rep., Vol.2010-MBL-57 No.5, pp.1-8 (Mar. 2011). (優秀発表賞受賞)

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